パラリンピックのポスターの言葉に批判があったとして、東京都がポスターを一部撤去したというニュースがありました。「障がいは言い訳にすぎない」と書いてあったことが問題だそうですが、どんなポスターだったのか、またそれはなぜ問題なのか、撤去されてしまった理由などについて気になることをメモしておきます。
問題となったポスターとは?
パラリンピックの選手たちが、自分たちの言葉で決意を語っているというもの。
都オリンピック・パラリンピック準備局によると、ポスターはイベント用に都が作製した。23種類の障害者スポーツを、各競技1選手ずつ、本人の言葉を元にしたキャッチコピーと競技写真で紹介した。
障害者スポーツPRイベント用 JR東京駅構内から 「障がいは言い訳にすぎない。負けたら、自分が弱いだけ」。東京都主催の障害者スポーツをPRするイベント用ポスターのキャッチコピーに対して、障害者らから批判が相次ぎ、都は15日夜、JR東京駅構内からこのポスターを撤去した。選手が自分を鼓舞した言葉が、せ
その中で、バドミントンの杉野明子選手が語った「障がいは言い訳にすぎない。負けたら自分が弱いだけ」という言葉について、賛否両論となっているのです。
杉野明子選手のこの発言の真意は?
もともと、これは過去に杉野選手がインタビューに答えた言葉から、東京都がコピーとして切り取ったもの。
杉野選手は、出生時の事故で腕に障害を負いましたが、中学生のころに部活で始めたバドミントンでは健常の部活仲間とともに、とくに勝ち負けにこだわることなく楽しくプレーしていたそう。
大学生のときに出場したパラバドミントン大会で、障害があっても勝ちに行く姿勢を見て、勝ちたいという意識で戦う気持ちになったそうです。
そういった文脈からこのように続くのですが…
「それまで健常の大会に出ているときは、障がいがあってもできるんだという気持ちもあれば、負けたら”障がいがあるから仕方ない”と言い訳している自分がありました。でもパラバドでは言い訳ができないんです。シンプルに勝ち負け。負けたら自分が弱いだけ」
"迷うくらいならやればいい"―――コーチの言葉が飛躍を後押しした。昨年11月、世界選手権では自身初の...
つまり、このコピーを受け取る前提として「自身が健常の人と戦って負けたときに障害のせいにしていたことがあったので、パラリンピックでは言い訳にならないということを再認識した」という文脈が理解できている必要があります。
ポスターでは、「障害は言い訳に過ぎない」というそこだけを切り取ってあるので、障害があってできないことがある人が傷ついてしまう危険があるということなんですね。
また、そこだけを取り上げて、障害があってできないことがある人に「障害を言い訳にするな」などと言ってしまう人が出てきかねないという危惧もあります。
杉野選手が自分で自分に言い聞かせている言葉が、他者に配慮なしに使われてしまうかもしれない、そういう可能性もありますね。
東京都の対応は?
東京都は今回の騒動の経緯についてこのように言っています。
経緯
「BEYOND FES 丸の内」(10 月 12 日から 21 日まで)では、パラアスリートを覚えてファ
ンになっていただくため、23 人の選手について、競技中の写真とともに競技に向き合
う強い気持ちを添えたポスターを制作し、東京駅構内等に掲示しました。
・23 のポスターの中に、杉野明子選手(バドミントン)の「障がいは言い訳にすぎない。
負けたら、自分が弱いだけ。」という言葉があり、これについて、疑問のお声を複数頂戴しました。
・この言葉は、杉野選手御自身が競技に向き合う姿勢を表したものであり、決して他の方に向けられたものではありませんが、東京都のデザイン及び掲示方法が不適切であったため、不快な思いをされる方が生じる事態となりました。対応
頂戴したお声を重く受け止め、東京駅構内の当該ポスターを撤去し、「TEAM BEYOND」ウェブサイト内の当該ポスター画像を削除いたしました。
東京都のデザインなどに不備があったせいであるとして、撤去したとしています。
パラリンピックポスター撤去についての声は?
これについて、人々はどのように考えているのでしょうか?
意図が伝わりにくいポスターである
右下の小さいパラのロゴと文字をもっと目立つようにして「パラリンピックのポスター」だとわかりやすければここまでならなかったと思うんだけどな。
スタイリッシュにこだわりすぎて何のメッセージ(広告)だか伝わらないのはポスターとしてだめなやつ— かなた (@kanata74) 2018年10月16日
《萱場明子・都パラリンピック部長は「ポスターの言葉は選手が競技に向き合い、自分を奮い立たせる姿勢を示したものだったが、デザインが不適切で、あらぬ誤解を招いてしまった」と釈明》 https://t.co/Rgcvu2iaEd
— 岩本太郎 (@iwamototaro) 2018年10月16日
コピーのとり方がよくない
本人の言葉とわかるけど、元のインタビューとは印象変わり過ぎ。ぎゅっと圧縮して鉛玉にしたような印象だもの。コピーライトの切り取り方が良くないと思う…。#パラリンピック#ポスターhttps://t.co/AtRm5AwgRF
— スイカ (@suika_su_ika) 2018年10月16日
過剰反応だ
『障がいは言い訳にすぎない。
負けたら、自分が弱いだけ。』東京に貼ってあったポスター。
批判が殺到してもう撤去されたみたいだけど、何が悪いの?
この人アスリートなんだよ?スポーツなんだから当たり前。
批判する奴の所為で余計に障害者の肩身が狭くなる。#障害者#パラリンピック pic.twitter.com/nNcsWekoAt— とろ (@toro_kobito) 2018年10月16日
パラリンピックのポスター撤去のニュースを見て。
SNS普及の影響だろうけど、世の中の言葉を「自分に言われたもの」だと受け取る人が増えてないか?
不特定多数に向けられたなにかを読んで「へぇそうなんだ」「私はこうだけど」以上の受け取りをし、尚且つ「傷ついた!」なんていうのは自意識過剰だよ— 瀧 (@takimocho2010) 2018年10月16日
やむを得ない…
萱場明子・都パラリンピック部長「デザインが不適切で、あらぬ誤解を招いてしまった」
←貼り出す前にぱっと見て不適切ってわからんか?東京都:「障がいは言い訳」ポスター、批判で撤去 (毎日新聞 – 10月16日 20:33) https://t.co/wBTj7c6hX1
— HRK (@on_and_under) 2018年10月17日
この表現が何がマズいんだろう?と最初に思ってしまったが、パラリンピックなんt考えられない重い障害の人もいるからかなとも/【炎上】パラリンピックのポスター「障がいは言い訳にすぎない。負けたら、自分が弱いだけ。」 → 障害者からクレーム殺到、撤去へ https://t.co/qakxHZev5q
— ⊿だい (@daisuzu) 2018年10月16日
まとめ
パラリンピックのポスターで思わぬ騒動が起きてしまったようです。
選手のインタビューを読んで、その中での言葉であればすんなりと入ってくるのですが。
そこだけをコピーとして切り取ってしまうと、誤解が生じるのも仕方がないかなという気もしました。伝えるのも受け取るのも、いろいろな立場があるので気を遣いますね。
今回はパラリンピックについてでしたが、どんな事柄にもあることなので気をつけたいですね。
それでは^^